占い師コラム

惑星の逆行とその対処法について知ろう第143回 エレーヌ天宮先生

私たち人間や地球そのものに、大きな影響を与えるとされる惑星の逆行。その意味、対策について知っておきましょう。

惑星の逆行とその対処法

惑星の逆行とその対処法について知ろう

西洋占星術では、10種類の惑星の動きを見て運勢を占います。しかし、中には惑星の逆行という現象が起こることもあるのです。逆行は人間や地球に大きな影響をもたらします。そこで今回は、惑星の逆行について、その意味と対策をご紹介します。

惑星の逆行とは

西洋占星術では、惑星の逆行ということがあります。よく惑星の逆行が生まれたネイタルチャートにあると、悪い意味を持つといったことがあります。惑星の逆行は、太陽と月以外に起こります。惑星は、逆行がある周期をもって起こります。例えば水星は、およそ3.8ヶ月、金星はおよそ1年7ヶ月の周期で逆行します。つまり、生まれた瞬間に惑星が逆行していることはよくあることなのです。

これは、惑星が本当に逆向きに動いているわけではなく、地球のほうが動くスピードが速いため、地球のほうが先に通り越してしまうことから見かけ上、逆行が起こるということになります。

ネイタルチャートで逆行していると?

では、生年月日から割り出されるネイタルチャートにおける惑星の逆行は、どのような意味があるのでしょうか。これには、過去にさまざまな占星術家が、ただ単に逆行が悪いことではないと、それぞれ見解を述べています。例えば、必ずしも悪いとはいえない、逆行の惑星の力が存分に発揮されないというのは誤りといった具合です。ですから、ネイタルチャートに惑星の逆行が起こっても、単純にだめだとはいえないのです。

しかし、ネイタルチャートに惑星の逆行があると、惑星の力は発揮されるものの、ストレートには発揮されないというのが一般的な見解になります。多くの著名人は、その社会的な惑星である木星や土星が逆行していても、その名をしっかりと残すほどの功績を挙げているのです。

ネイタルチャートで起こる逆行の意味

では、具体的に、ネイタルチャートで惑星の逆行が起こっている場合、その意味を確認していきましょう。

水星の逆行

水星は知性や情報を意味するため、一度考えたことをやり直すなどの意味があります。つまり、この人は少し内省的といえるかもしれません。いってみれば、何でも内省するため、情報をバンバン新規で出していくような人ではないというわけです。また、水星は表現にもかかわってくるため、なかなかストレートに表現しないところがあります。ストレートに素直に言えばいいものの、ひねって表現するのが得意ということもあります。ただ、水星はそれほど大きな影響を与えないといわれているため、周囲からはちょっと素直じゃない人、のように映る程度のようです。

金星の逆行

金星は、愛や恋愛、嗜好などを示すため、愛情や楽しみがストレートではないといった具合になります。また、人とのすれ違いも多い印象です。金星が逆行しているネイタルチャートの人は、金星の愛情表現がストレートにいかず、自己愛に向かいやすいといわれています。一方、内面へ愛情が向かうことから、芸術性は高まるという説があります。また、金星の逆行は、退廃的なムードを好む傾向もあります。

火星の逆行

火星は男性、エネルギーなどを示すため、力がストレートに出せないところがあります。これには、また、焦ってしまうと失敗が多かったり、エネルギーがストレートに出せずに、力が滞ってしまったりすることがあります。火星は、パワー全般を示しますが、スポーツなどにも関係しています。そこで、火星がネイタルチャートで逆行している人が、スポーツ中、ケガをしやすい傾向がある人がいます。どうやらスポーツ中、エネルギーが発せられるものの、逆方向へ発せられるため、エネルギーが滞り、ケガにつながりやすいようです。実際、火星がトランシットという現時点での火星が逆行のときには、ケガや事故が起こりやすいといわれています。

木星の逆行

木星は、社会的な富、広がり、幸運などを示す惑星です。木星が逆行だと、大きな信頼のおけるものに対して懐疑的になる傾向があるという説があります。社会的に良しとされているものを、やり直す、つまり考え直して捉え直すところがあるのです。

土星の逆行

土星は、それ自体が抑制の意味を持ち、同時にカルマを示すといわれています。よって、その人の弱点であり、克服すべき点と考えられます。ネイタルチャートに土星の逆行がある場合、それは極端に土星の影響を受けやすくなるといわれています。よって、社会への矛盾を感じやすく、自分のよしとするルールを守ろうとします。一方、土星のエネルギーがうまく働かず、ルールをそれほどつくらず、ゆるいルールでこだわりがない人もいるようです。

天王星の逆行

天王星が逆行している人は、天王星の革新という意味を少しストレートに表現せず、わざと常軌を逸した行動を取る傾向があるといわれています。いってみれば、独創性に逆行の素直ではない要素が加わったといってもいいでしょうか。エネルギーがそのまま放たれないのです。

海王星の逆行

海王星は、夢想、直感、目に見えないものを表します。海王星のエネルギーがストレートに表現されないと、少しマイナスに働くことがあります。夢見がちだったり、人から騙されやすかったり、生活が乱れがちになったりします。

冥王星の逆行

冥王星は、極端な行動を示します。この冥王星の逆行は、ストレートに表現するのを避けるため、あえて、突然の行動を起こして周囲を驚かせることがあるでしょう。また、冥王星はマイナスに働くと、孤独に陥りやすくなります。

このように、惑星の逆行にはさまざまな解釈があります。一概にどれが正解ともいえません。もちろん、ネイタルチャートにこれらの逆行があっても、その惑星の重要度によっても、アスペクトによっても、ハウスによっても、どのようにその人の中で発揮されるか分かりません。強弱もありますので、一概にこうなるというのはむずかしいようです。

ネイタルチャートに逆行があると逆行時に過ごしやすい

ところで、このネイタルチャートに逆行の惑星を持つ人は、実際のリアルタイムの惑星の動きが逆行の場合、かえって過ごしやすいといわれています。生まれもったものと世の中の運気がちょうど交わるので、ネイタルチャートに逆行の惑星がある人は「自分にとっての普通が今世の中の流れと同じ」ような感覚になり、過ごしやすくなるようです。例えば、水星の逆行時にみな「見直し」期に入るといわれていますが、ネイタルチャートで水星が逆行している人は、「見直し」は日常茶飯事なので、「今さら感」があるようです。

逆行はマイナスではない

総じて、逆行はネイタルチャートでも、トランシットでも、必ずしもマイナスではないと考えられます。むしろ、見直し・点検を行う惑星であるため、その惑星のエネルギーを使いやすいところがあるようです。つまり、その惑星について深堀するため、よりその分野で突き進むことができるようになるのです。逆行が目立つのはそのことが背景にあるようです。ただ、逆行はそれほど強い意味を持たないものも事実のようです。もしネイタルチャートで逆行の天体を持つ場合や、トランシットの時期にも、それほど悲観せず、適切にその影響を考えたいものです。