占い師コラム

占い師と霊場巡礼第58回 雪月先生

霊場および巡礼について

占い師と霊場巡礼

このコラムをお読みになっている方の多くは、占い師、特に電話占いで鑑定を行なっている占い師に興味をお持ちだと思います。私を含め、電話占いに所属しているそのような占い師の多くは霊場での修行や巡礼を経て、プロの占い師、本物の占い師になっているのです。 そもそも、「霊場」とは、「巡礼」とはいかなるもののことをいうのでしょうか? 霊場とは簡略化すれば、全国各地に設けられている、大きなご利益のある場所、日本古来より信仰の対象となっている神聖な場所のことを指します。そしてその代表的なものが、神社や仏閣といった宗教施設。このような大小さまざまな霊場が北海道から沖縄まで日本各地にあり、中でも、平安時代初期の僧、空海(弘法大師)ゆかりの四国八十八ヶ所霊場や、近畿地方にある新西国霊場(新西国三十八霊場)などは有名です。そして巡礼とは、こうした霊場を巡り、礼拝することをいいます。

霊場巡礼の歴史は古く、その起源は平安時代にまでさかのぼります。当時行なわれていた、僧たちの修行や修験道(しゅげんどう)、または「源氏物語」の中で描かれていたような、貴族階級による神社への参拝などが、その最初の形態であるといわれています。その後、時代が下り、江戸時代に入ると社会情勢の安定や宗教的背景など幾つかの要因から、霊場巡礼は現世利益を求める庶民にも浸透していきました。そして現代でも、たとえば四国八十八ヶ所霊場の巡礼などは「四国遍路」、その巡礼者は「お遍路さん」と呼ばれ、老若男女問わず多くの人々から高い人気を集めています。

占い師と霊場巡礼との密接な関係

このように、現代では実にたくさんの人々に親しまれている霊場巡礼。一方、私を含めた占い師たちにとっても、これとは少し異なる意味においてですが、霊場巡礼は大きな意味を持っているのです。というのも、私たち占い師の立場からしますと、霊場巡礼とはすなわち修行であり、プロの占い師になるための通過儀礼(イニシエーション)でもあるからなのです。現代においては、幾つもの霊場が「パワースポット」と呼ばれて多数の巡礼者を集めているように、霊場とは神仏の霊験あらたかな場所、つまり神仏の“気”や強力な霊的パワーが集まる特別な空間なのです。私ども占い師たちは、そうした霊場を巡礼し、また時としてそこに留まり、瞑想などの修行に励みます。そのような霊場として最も知名度が高いのは、恐山、比叡山、高野山という、いわゆる“日本三大霊場”になるでしょう。かくいう私も、この日本三大霊場で修行を行なった占い師の1人であります。振り返ってみましても、日本三大霊場への巡礼とそこでの修行を経ていなければ、私が今こうしてプロの占い師として活躍することはなかったと断言できます。それくらい、霊場巡礼を経験することによって、私は驚異的なまでに自らの霊能力を高めることができました。そして繰り返しになりますが、このような経験は私に限らず、それぞれの電話占い会社に所属している大半の占い師に共通していえることなのです。

巡礼を行なう際の心得

先にも書きましたように、現在ではプロの占い師以外にも多くの人々が、自分の心を見つめ直し、日常で忘れがちな価値を再発見する目的で霊場を巡礼されています。それに伴って最近では、白装束に菅笠(すげがさ)、金剛杖(こんごうつえ)といった“正装”で巡礼する人も以前ほどは見掛けなくなりました。しかし古来より長い間、本格的なスタイルで巡礼を行なってきたのには理由があったことも確かなのです。

元来、手甲脚絆(てこうきゃはん)に白装束を着け、頭には菅笠をかぶり、金剛杖を手に持つという巡礼の正装には、仏の前では誰もがみな平等であるという教えを表すものでした。また白装束を着用することには、俗世間から離れて身を清め、無垢な状態になるという意味が含まれていました。さらに金剛杖は弘法大師や観音菩薩の分身であり、手にしていると身を守ってくれるといわれています。もっとも、巡礼において何より大事なのは、巡礼される方の心の中ですから、必ずしもこうした服装でなければいけないということはありません。ただ、巡礼の際の正装には、きちんとした意味があるということだけは知っておいていただきたいと思います。

また、巡礼の際に特にお経を覚えておく必要もございません。むやみに暗記するのではなく、巡礼のたびにお経を見ながら、偽りや飾りのない心で読むことこそが大切なのです。最初のうちは違和感を覚えるかもしれませんが、巡礼の際にはぜひ読経を行なってみてください。 一般の方が巡礼されるきっかけとしては、先述しましたように「非日常的な世界に身を置き、自分自身を見つめ直す」といったものが多いようですが、その他にも人によって色々な理由があると思います。ただ1ついえるのは、体力的な無理は禁物ということです。たとえば新西国霊場などは、必ずしも三十八の札所をすべて巡礼しないといけないわけではありません。また、順番通りに巡らないといけないこともないのです。自分の体と相談しながら、気候の良い穏やかな季節である春や秋に、足を運びやすい所から巡礼されるのが良いでしょう。