「言霊(ことだま)」という言葉を聞いたことはありますか? 私たちが普段口にする言葉は、“音”として変換されていますが、日本では古来より、言葉には“魂”が宿ると信じられてきました。例えばポジティブな言葉はプラスのエネルギーに、ネガティブな言葉はマイナスのエネルギーに変わるといったように、言霊は私たちの生活に大きな影響を及ぼします。今回は、ご自身の言葉を振り返り、幸運を呼びこむ方法をご紹介したいと思います。
言霊信仰は奈良時代から存在した
現代を生きる私たちにとって、言霊はあまりなじみのないものかもしれません。しかし、今から1200年以上前の日本では、当たり前のように言霊信仰がされていました。「令和」への改元で話題にもなった奈良時代の歌集、『万葉集』で、柿本人麻呂が「しきしまの 大和の国は 言霊の さきはふ国ぞ まさきくありこそ」と詠んでいます。この歌の意味は、「日本の国は、言霊が幸いをもたらす国です。私の言葉によって、どうかご無事でいてください」という意味です。現代においても、結婚披露宴の挨拶で縁起が悪いからと「わかれる」「きれる」といった言葉を避けたり、葬儀においては不幸を繰り返さないようにと「重ね重ね」「再び」という言葉を使わないことがマナーだとされていますね。これらも、「発した言葉が現実になる」という言霊信仰の名残といえるでしょう。
ネガティブな言葉が不幸を招く
人生にはうれしいこともあれば、いやなことも起こります。人間関係にトラブルがあったとき、恋人に振られてしまったとき、仕事がうまくいかないとき、思わず「もうダメだ」「どうせ私なんて…」などと口にしてしまいがちです。しかし、そうしたネガティブな言葉は、“呪い”という形で自分に染みこんでいきます。その呪いは、ますます不幸を引き寄せ、事態をさらに悪化させてしまうのです。また、あなた自身が発する言葉ではなく、周囲の人が放つ言葉によってマイナスの影響を受けてしまうことも。例えば、あなたの周りに人の悪口ばかりを言う人はいませんか? 悪口は、聞いている人にとっても気持ちのいいものではありませんね。もし「あなたもそう思うでしょう?」と聞かれたとしても、決して「私もそう思う!」などと同調してはいけません。「そんなことがあったんだね」「大変だったね」と聞き流す姿勢が大切です。
周囲に感謝の気持ちを伝えることから始める
幸運を引き寄せるためには、ネガティブな言葉はできるだけ使わず、ポジティブな言葉を積極的に使うように心がけましょう。例えば、「ありがとう」という言葉。漢字で「有難う」と書くように、「有り難い」「滅多にないこと」という意味です。私たちの人生は、日々誰かに支えられて成り立っています。しかし、他人から何かをしてもらっても、それを当たり前のことと捉え、感謝の気持ちを忘れては、不平や不満ばかりが出て、幸せを感じることが難しくなってしまいます。「ありがとう」はご自身だけではなく、相手の方をも幸せにする言葉です。まずは、身近な人や物に「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えてみてください。ほかにも、「私はツイている」「私なら大丈夫」などの言葉も、プラスのエネルギーを生み出します。
私たちは、毎日言葉を使って生活をしています。だからこそ、一つ一つの言葉を大切にして、何かを伝えるときにも「これを言ったら、私は/相手はどういう気持ちになるだろう」と想像を働かせてみてください。言霊が持つパワーを味方につけて、人生を豊かにしていきましょう。