ダイス占術の方法
ダイス占術あるいはダイス占いは、大昔から世界中で用いられてきた、非常に歴史のあるポピュラーな占い方法の一つです。ダイスを投げて出た目の数によって、様々なことを占うことができます。ダイス占術はタロット・易・おみくじなどと同じく、その時の偶然の結果から運勢を判断していく「卜術」に分類されます。
ダイス占術の方法は占者によって異なります。例えば使用するダイスの数も、「ひとつのダイスを使用」or「ふたつ以上のダイスを使用」の2パターンがあります。また、各面に1~6の数字が刻まれた一般的な6面ダイスの他に、数字の代わりに「乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤」の8文字が刻まれた占術用の8面ダイスを用いることもあります。
そして結果を分析する方法にしても、
- 出た目が偶数か奇数かで吉凶(Yes or NO)を占う
- それぞれの数に意味を持たせて占う
- 出た目の組み合わせで占う(2個以上のダイスを使用する場合)
- 出た目の合計や数字の並び方などで占う(2個以上のダイスを使用する場合)
など様々な方法があります。
ダイス占術の特徴
“偶然の結果”に基づくダイス占術は、自分の進むべき方向に迷ったときの道しるべとして重宝されます。「恋愛中に相手の気持ちがわからなくなって不安になった」「今後自分の仕事をどう進めていくか」などを知りたいときに向いているでしょう。
ダイス占術を行う上で重要なことは、自分の知りたい答えを絞り込むことです。例えば恋人の気持ちを知りたいときに「どんなところにデートに行くのが喜ばれるのか?」という質問ではなく、「デートで海に行くのは吉か凶か?」と、答えを選択する形式にした方が的中率が高くなるのです。
ダイスの導き出す数字は「神様の意志」を持つと考えられています。高度な技術を持つ占い師であれば、数字を見ることで神の言葉まで感じとることができるそうです。そしてダイス占術の魅力のひとつが、ダイスさえ持っていれば自分自身でも気軽に行えるということです。バッグの中に常にダイスを忍ばせておけば、仕事中や外出先で何か迷いごとが発生したら、ダイスをポンと振って答えを決めることもできるのです。
ダイス占術の公平性
ダイスを振ったときに「出やすい目」「出にくい目」があるのかが気になったことはありませんか?実は、ダイスの種類によっては「出やすい目」「出にくい目」が存在します。ダイスの各面をよく見ると、1~6個の●は平面部分から凹んでいることがわかります。つまり、各面から●の数だけ質量が取り除かれているため、ダイスの重心に偏りが発生します。最も質量が重くなる1の面は下になりやすく、その反対側にある面が上になる可能性が高くなります。しかし世の中には、このような偏りを避けるために色々な工夫がされたダイスも存在します。刻む目の大きくさをコントロールして各面から削られる質量を等しくしたり、目を凹ませた部分を面と同比重の塗料で埋めるという方法もあります。目を削ることなく、面の表面に塗装して目を作成しているダイスもあります。このようなダイスには重心の偏りがないため、ダイスを振って出る数字はまさに“偶然の結果”と言えるものでしょう。
ちなみに世の中には、あえて各面の重心に偏りを出して特定の面を出やすくさせた「いかさまダイス」と呼ばれるものも存在し、ギャンブルの八百長を行う際に用いられているそうです。
世界中のダイスの歴史
ダイスは占いだけではなく、古来からギャンブルやゲームの遊具として世界中で活用されてきました。「神様の意思を示すもの」として、宗教儀式などに使用されたこともありました。古代メソポタミアの遺跡から発見されたダイスはゲームのコマに用いられていており、ギリシアから発掘されたダイスは当時流行していた賭博で使用されていたそうです。そして古代ローマ時代に作られた正20面体のダイスは、占い専用の道具として用いられていた可能性が高いと言われています。ちなみに古代のダイスは必ずしも立方体ではなく、棒型や三角錐タイプなど材料や形も実にバライティに富んでいたようです。
日本のダイスの歴史
ダイスが始めて日本に伝わったのは奈良時代。棒状・立方体のダイスが、海を越えて中国から伝わったという記録があります。平安時代には新王の誕生を祈願してダイスを振ったり、江戸時代になると、ダイスを船に祀って航海の安全を祈願する風習も出てきました。日本の一般的なダイスの「1」の目が赤い色になっているのは、日本の日の丸を参考にしたという説や、ある業者が他社との差別化のために赤く塗ったところ、その文化が全国的に広まったなど複数の説があります。