占いの種類と占術

五行易ごぎょうえき

五行易のイメージ

五行易(ごぎょうえき)とは断易(だんえき)や鬼谷易(きこくえき)、漢易(かんえき)三文易(さんもんえき)などとも呼ばれている占いで、中国の春秋戦国時代(およそ2300年以上前)に誕生したと云われています。五行易は、文字通り、五行(木、火、土、金、水)の状態を見て、物事の吉凶などを占う占術です。また、「易」は「占い」を意味している言葉です。

五行易を理解するためには、まずは、五行思想(五行説)について、さらには陰陽五行思想(陰陽五行説)と干支について理解する必要があります。

五行思想とは

古代中国の自然哲学の思想で、 この世に存在するありとあらゆる事物は、すべて、木、火、土、金、水の5つの元素の相関関係から生じる法則に従って変化していく、という考え方です。なみに五行の「行」は、行動や状態を示しています。

  • 木行:木や草花が生育する状態。季節では「春」を象徴しています。
  • 火行:炎が燃え盛る状態。季節では「夏」を象徴しています。
  • 土行:地面に種を植えて発芽した植物が、土から養分を得て育つ状態。万物の元、土台、基礎を意味し、季節では、「夏の終わり(あるいは季節の変わり目)」を象徴しています。
  • 金行:土の中にある鉱物、金属のように、冷たく硬い状態。季節では「秋」を象徴しています。
  • 水行:湧き水の状態。季節では「冬」を象徴しています。

五行思想では、世の中の事物は、全て、上記の五行のいずれかに分類することができるとされています。また、五行思想の核となるのは、「五行相生」と「五行相剋」と呼ばれる、5つの元素の相関関係です。

五行相生は、「木は火を生じ、火は土を生じ、土は金を生じ、金は水を生じ、水は木を生ず」という考え方で、一方が一方の性質を強める状態です。

五行相剋は、「水は火に剋し(勝る、火は金を剋し、金は木を剋し、木は土を剋し、土は水を剋す」という考え方で、一方が一方の性質を弱める状態です。

陰陽五行思想とは?

上記の五行思想にさらに陰陽思想が加わった思想で、この陰陽五行思想により、世の中のさらに複雑な事象を説き明かすことが可能になりました。陰陽思想とは、文字通り、森羅万象は、陰(-)と陽(+)の二極(例えば、男と女、天と地、明と暗、善と悪、吉と凶など)に分類され、この両者が存在することで、あらゆる物事のバランスが保てるという考え方です。

陰陽五行思想は、五行の木、火、土、金、水をさらに陰と陽とに分類して考えます。木は甲と乙に、火は丙と丁に、土は戊と己に、金は庚と辛に、水は壬と癸に分類されます。ちなみに、甲、乙 、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸の訓読みは、それぞれ、きのえ、きのと、ひのえ、ひのと、つちのえ、つちのと、かのえ、かのと、みずのえ、みずのとになっています。末尾が「え」で終わるのが「陽」で、「と」で終わるのが「陰」です。

さらに、それぞれの最初の言葉は、き(木)、火(ひ)、土(つち)、金(かの)、水(みず)を示していて、訓読みから五行と陰陽がすべてわかるようになっています。例えば、きのえは、木の甲(木の陽)を表し、ひのえは、「火の丙(火の陰)」をあらわすということです。

ちなみに、甲、乙 、丙、丁、戊、己、庚、辛、壬、癸は、まとめて、十干と呼ばれています。この十干と、十二支(子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉 、戌、亥)の組み合わせが干支(十干十二支)です。十二支は、年月日時、方角、順序などを表すときに用いられます。そして、五行易では、陰陽五行説と干支の組み合わせによって、物事を吉凶や未来の状況を占います。

五行易を実践する際に必要な知識

実際に五行易を実践する際には、基本的な知識が必要になってきます。五行易は、極めて奧の深い占術で、完全にマスターするためには、膨大な知識が必要になりますが、こちらでは、必要最低限の知識についてご紹介します、

六十四卦(易卦)

占いの結果のようなものです。八卦と八卦の組み合わせによって、64通りあり、それぞれ、象徴的な意味を持っていて、おおまかに良い卦、悪い卦に分けることができます。六十四卦により、その占いの結果が、良いか悪いか、方向性を見極めることが可能になります。ちなみに、八卦は、天、沢、火、雷、風、水、山、地を象徴する言語と陰陽を示す記号から成り立っています。記号は、一本線が陽、真ん中が切れた線が陰を示しています。

そして、この八卦と八卦を組み合わせることで、64通りの詳細な意味を持つ結果を出すことができます。この64通りの結果が表となっているものあらかじめ用意しておきます。さらに五行易では、いつ占ったかという占った日の干支と、何を占うかという明確な目的が必要になります。

用神

占う対象(一番重要視する爻のこと)で、「父母」「兄弟」「子孫」「妻財」「官鬼」「世爻(せこう)」「応爻(おうこう)」などがあります。用神は、何を占うか、その内容によって、占う人が設定しなければいけません。例えば、自分自身に関することを占う場合は、世爻(せこう)を用神にします。

  • 世爻(せこう):自分のことを占う場合
  • 応爻(おうこう):彼や彼女など、第三者との相性などを占う場合
  • 兄弟(けいてい):兄弟、姉妹などを占う場合。
  • 子孫(しそん):自分の子供や、飼っているペットなどを占う場合
  • 妻財(さいざい):自分の妻、部下、お金、物品などを占う場合(天気を占う場合も)
  • 官鬼(かんき):自分の夫、役人、自分の天敵、自分に災いをもたらす物、病気などを占う場合

上記は、本の一例ですが、五行易を実践する際には、占いたい内容が、上記のどこの用神に該当するか見極める必要が出てきます。

ちなみに、

  • 父母は、自分を生ずるもの
  • 子孫は、自分から生ずるもの
  • 兄弟は、自分と同じもの
  • 官鬼 は、自分を剋するもの
  • 妻財は、自分が剋するもの

となっていて、ちょうど五行の相剋と相生の関係と一致します。

では、実際の五行易の占い方の手順をご紹介します。

五行易の手順

五行易は、筮竹やサイコロ、コインなどを使って占います。

同じように筮竹やサイコロ、コインを用いて占うことができる占術に、周易がありますが、周易には、陰陽五行説は関与しません。

なお、周易では、占う際に、主に筮竹が使われますが、五行易の場合は、一般的にサイコロ3個や硬貨3枚が使われます。どれを使っても、占い方は基本的に同じで、出た目の陰陽の組み合わせによって占います。サイコロの場合は、奇数が陽、偶数が陰、硬貨の場合は、表が陽で裏が陰となります。 こちらでは、硬貨を使った方法をご紹介します。

  1. 何を占うのか占う目的を決めます。
  2. 占う日の干支を調べます。
  3. 占ってほしい事柄を心の中で思い描きながら、3枚の硬貨をふり、それぞれの硬貨の裏か表を確認して、記しておきます。表を2点、裏を3点として、計算結果を記します。
    出た目が、3枚とも表だった場合は、2+2+2=6点となります。全て裏だった場合は、3+3+3=9点となります。
    そしてこの動作を6回くり返します。1回目から6回目の点数を記しておきます。
  4. 点数が奇数の場合は、一本線=「-」で、奇数の場合は、一本線の真ん中が切れた線=「- -」で表します。すなわち、「-」が陽を、「- -」が、陰を示す記号です。
    1回目から3回目までの結果と、4回目から6回目までの結果を分けて考えます。
    ちなみに1回目から3回目までの結果を上卦、4回目から6回目までの結果を下卦と呼びます。そして上卦の陰陽の組み合わせが8通りあり、同じく下卦の陰陽の組み合わせが8通りで、合わせて64通りの陰陽の組み合わせが出来上がります。1セット6個の陰陽の組み合わせが、「爻」(こう)と呼ばれています。
  5. 出た結果(卦)が、64通りのどの結果(卦)に該当するか照らし合わせます。
  6. 照合した卦の中から、用神を見つけ出します。
  7. 用神と五行と占った月日の関係から、占いたい事柄の吉凶を判断します。占いの結果は、基本的には、十二支の五行の相生と相剋の関係を見て判断します。
  8. 最後に占い結果が実際に起こる時期(応期)を判断します。

五行易は、吉凶が明確に出やすく、しかも占った結果がいつ頃起こるかという時期まで判断でき、極めて高い的中率を誇っています。

五行易は、吉凶(○か×か)がはっきりさせやすい内容を占うのは得意で的中率も高くなりますが、逆にあまりにも漠然としすぎていたり、曖昧な事柄を占うのは不得意でどうしても的中率が下がる傾向にあります。