占星術とは
占星術とは、太陽系内の太陽・月・惑星・小惑星などの天体の位置や見かけ上の運動と、地上の人間や事件、社会のあり方を結び付けて占う学問または技術のことです。占星術は、人類史上に現れたもっとも古い学問の1つである天文学と歴史的に密接につながっているといわれており、そのことから他の雑占や迷信のたぐいとは異なる高尚な占いとみなされています。
占星術はその天文学との絡み方によって、2種類に大別できます。1つは「天変占星術」と呼ばれ、天に異常現象が起きたときに、地上の天下国家の大事や飢饉、洪水、軍の反乱などを引き起こす影響を占うもの。もう1つは「宿命占星術」もしくは「運勢占星術」と呼ばれ、ある特定の人間の生まれた日時における日・月・諸惑星(地球を除く)の位置によってその個人の宿命や運勢を占うというものです。
占星術の起源・歴史
占星術は、古代バビロニア(現在のイラク南部を占める地域)で行なわれた大規模な天体観測を起源とします。まだ科学が存在しなかった時代、人々は夜空に浮かぶ星を観測して時計がなくても規則正しい生活を送る工夫をしたり、天体観測や自然現象から様々なことを予測したりして、生活に取り入れていました。当時は国の運命や動向、天災などの情報を、占星術を利用して知ることができると信じられていたのです。占星術は学問の1つと見なされ、王侯や貴族たちが占星術(占星学)を学んでいたといわれています。
しかしその当時の占星術は、主に国家や王家の吉凶判断に使われ(天変占星術)、個人の運勢を予測する(占う)ものではありませんでした。やがてバビロニア文明は他の民族によって滅ぼされ、カルディア人によって新バビロニア帝国が再建されると、占星術は個人の運勢を占う宿命占星術(ホロスコープ占星術)に発展しました。
その後、新バビロニア帝国も滅亡すると、地中海沿岸を中心にヨーロッパ各地に散らばったカルディアの占星術師たちによって、占星術は世界中に広められました。このようにして世界中に広まった占星術は、ギリシア・アラブ・ヨーロッパでは西洋占星術、インドではインド占星術、中国・東アジアでは東洋占星術として発展していったのです。
宿命占星術
宿命占星術とは、天下国家的規模の予測ではなく、各自各様に異なった個々人の運命を予測するものであり、今日一般的に占星術といわれているものは、この宿命占星術のことを指します。宿命占星術の方法は、個人の生誕時における日・月・諸惑星の位置関係をホロスコープ(占星表)の上に書き込み、それらの位置関係によって占うというものです。そのため、「ホロスコープ占星術」とも呼ばれます。占星術師たちはこのホロスコープを分析することによって、運命以外にも性格や才能など、その人の基本パターンを知ることができるといわれています。
占星術と心理学の関係
近代において占星術に積極的に取り組んだ研究者の多くは、カール・ユングに代表される心理学者でした。ユングは「意味のある偶然の一致」という考え方を示そうとして、しばしば占星術を援用しました。このユングの影響もあって、イギリスを中心とする現代の占星術師や占星術研究家と称する人々の中には、心理学を援用しようと試みている人も少なくありません。1970年代には欧米で心理療法の分野の研究をしながら占星術を学ぶ人が増えたことにより、心理占星学が発達したといわれています。また人間の心を扱う研究は、古代の占星術にとって重要なテーマの1つであったとも伝えられています。