占いの種類と占術

敬愛法きょうあいほう

敬愛法とは

敬愛法のイメージ

敬愛法は「けいあいほう」ではなく「きょうあいほう」と読みます。密教における明王のひとつ「愛染明王」と結び付けて考えられ、不和の修復、恋愛の成就、人気の獲得などを叶える祈祷の一種です。そして本来は密教の「五種法」……息災(災難や障害の除去)・増益(幸福の増進)・調伏(外的や己の煩悩を打ち破る)・敬愛(和平を結び親睦を深める)・鉤召(迷える者を引き寄せる)のうちのひとつです。

敬愛法の歴史

敬愛法を含む密教五種法の歴史は非常に古く、古代インドのヴェーダ文献に行き着くと言われています。ヴェーダは紀元前1000年~500年にかけてインドで編纂された宗教文書ですから、敬愛法は現代に伝わっている術の中でも相当古い術であると言えるでしょう。密教はやがてアジアを巡り、中国に伝わり、そして天台宗の開祖である最澄によって遣唐使の際に日本に持ち込まれたと推測されます。その後、五種法は中世日本において権力闘争の道具として陰陽師たちに使われました。敬愛法はその術の性質上、平和な目的に使用されることが多かったそうですが、中には愛染明王の力で相手を呪い殺すような技術も存在したようです。ですがそういった技術は現代では完全に失われ、現代では主に恋愛成就目的で使われています。

敬愛法の基本

敬愛法には「真言」という呪文が重要となります。神経を集中させながら愛染明王の真言を繰り返し唱えることにより、霊験を練り、願望を成就させます。愛染明王の真言はいくつも種類がありますが、「オン マカラ ギャ バサロ シュニシャ バサラ サトバ ジャク ウン バン コク」という真言がもっとも有名です。数珠を手に取り、7返、21返、108返と、繰り返すようにこの真言を唱えます。初心者が唱えるにあたって重要なのは、呪文の正式な発音や、回数ではなく「気持ち」です。出来る範囲の返数で、精一杯気持ちを込めて真言を唱えることが、もっとも重要、とされます。

敬愛法はなぜ恋愛成就に効果的か

敬愛法がどうして恋愛成就に効果的か。それは愛染明王の存在そのものに秘密が隠されています。愛染明王は戦国武将の直江兼続が「軍神」として信仰していたことでも有名ですが、そんな愛染明王の司る「愛」とは、一般的な「愛」とは異なります。一般的な「愛」はピュアな意味合いの強い概念ですが、愛染明王の司る「愛」は、主に不純な動機、煩悩や愛欲を指すものです。愛染明王の教えは「煩悩や愛欲は人間の本能であり罪ではない」「煩悩や愛欲を向上心にすることが重要である」というもの。「縁結び」や「復活愛成就」などに対して敬愛法が強い効力を示すのはこういった部分から来ています。霊能者を頼る相談者のほとんどは恋愛の悩みを抱えており、言い換えれば「煩悩や愛欲で苦しんでいる」と言うことができます。ですから、そういった不純な感情を否定することなく、苦しみを力に換えることで成就をもたらす「敬愛法」は、霊能業界において非常に効果的な占術とされているのです。敬愛法は「煩悩や愛欲を力に変える術」なのです。