インド風水「ヴァーストゥ」とは
風水と言えば中国を連想される方が多いと思いますが、インドには「ヴァーストゥ」と呼ばれるインド風水があり、一説には中国風水の起源とも言われています。その歴史はとても古く、紀元前6000年まで遡ります。インド風水ヴァーストゥは、古代インドで発達した学問であり、現代の建築学・心理学・脳科学に相当するものだと伝わります。ヴァーストゥの大きな特徴は、朝の日光を取り入れるということです。気の流れを調和しようとする点では中国風水の思想に近いものがありますが、方角の意味が逆だったりするので実践面では大きく異なります。
冒頭でもお話ししましたが、ヴァーストゥで最も重視するのは朝の日光。住居などには生活活動のすべてに朝の日光を取り入れるような工夫がされており、インドでは寺院を作る際などに大いに活用されてきました。光は人間の心身に大きな影響を与えるため、朝日を浴びることは人間にとって非常に重要な行為です。そのため、中国風水ではよしとされる北枕がヴァーストゥでは否定されています。つまり、朝起きて日の光を浴びるには北や東に頭を向けていてはダメなのです。また、南から西にかけて窓を作らないようにする。つまり夕陽を浴びないようにするという原則も存在します。これらの行為は現代においても非常に理にかなっていると言えます。近年、北枕か南枕かという議論が行なわれるのは、ヴァーストゥと中国風水が混同しているからかもしれません。一概にどちらがいいとは言えませんが、日光の利用など科学的な考え方を元にして方角を提案するヴァーストゥには、他の風水学よりも一定の効果があり説得力が存在すると思います。
ヴァーストゥの概要
ヴァーストゥの思想は、自然は地・火・空・水・風(空気)という5つの要素で構成されています。これはお釈迦様が説いている「五大要素」のことで、これが中国に伝わり五行(火・水・木・金・土)になったと考えられています。
- 「地」-地球上の生命体への影響力
- 「火」-生命の維持に必要な要素
- 「火」-宇宙を含む空間の提供を行なう要素
- 「水」-生命を生み出す要素
- 「風(空気)」-空気の流れで快適な環境を与える
方角の一覧表
方角 | 五大要素 | インテリア | 色 | その他 |
---|---|---|---|---|
北 | 子供部屋・玄関 | 緑 | 鏡・ドア | |
北東 | 水 | 書斎・リビング | 黄色 | シンク・フリースペース |
東 | 浴室・ダイニング | 白 | ||
南東 | 火 | キッチン | シルバー | 家電・熱を発する物 |
南 | 寝室 | ピンク | 玄関NG | |
南西 | 地 | 収納・寝室 | 緑 | |
西 | 勉強部屋・ダイニング | 青 | 浴室はNG | |
北西 | 風(空気) | 浴室・キッチン | 白 | 水関係は吉 |
中央 | 空 | フリースペース・神棚 | 気が流れるように開けておく |
ヴァーストゥは、立地、敷地、間取り、インテリアなど生活行動の全てに朝日を取り入れることが絶対条件。そして、北東を聖なる方角として重要視していますので、北東にトイレが配置されていたり、寝室があってはいけません。さらに、家の中央が中庭のようなフリースペースであれば完璧。海外ではヴァーストゥに基づいて建てられた家に対する住宅ローンの利率が、通常よりも高い場合があるそうです。海外ではヴァーストゥの効果が認められているのです。
世界一の大富豪や成功者も実践するヴァーストゥ
ヴァーストゥは、寺院建設などに伝承されるにとどまり、時代と共にその知識は次第に衰退し、一部の知識人にのみ受け継がれていくだけで一般には知られることはありませんでした。しかし、近年になり世界の大富豪や、マイクロソフト社、アマゾンなど大企業などが建築物にヴァーストゥを取り入れているようになったのです。特に、マイクロソフト社は創業からヴァーストゥを取り入れていたといわれています。そしてその効果が再評価されて、広く世界に知られるようになったのです。インド風水ヴァーストゥを信じるか信じないかは自由ですが、世界一の大富豪がヴァーストゥを実践している事実は確かに存在しています。