電話占い体験談

シンクロニシティマジック、タロットに導かれた出会い

シンクロニシティ

1年ほど前、中学校の同窓会に出席して衝撃を受けました。私以外のクラスの女子全員の女っぷりが急上昇していたからです。みんなファッションもメイクもバッチリで、当時は私の方がかろうじて勝っていると思っていた子たちまでもが、見違えるような変身を遂げていました。そんな彼女たちが楽しそうに語り合う華々しい恋バナについて行けず、みじめな気持ちで会場を後にしました。かく言う私は、小学校の高学年からマンガとアニメにはまり、中学時代にはすでにアニオタにして腐女子のレッテルを貼られた女でした。雑なポニーテールのジーンズ姿でアニメイトや各地のコミケを転戦し、ボーイズラブ系を中心に際どい二次創作物を漁り歩く日々。もちろん彼氏などできた試しもなく、また自分でもリアルの男なんてどうでも良いと強がっていました。

しかし女子大に入学した頃から、そんな開き直りの心境に大きな変化が生じました。男の子にモテたい!という欲求が急に芽生えてきたのです。そこへ同窓会でのショックが重なったことで焦りはMAXとなり、恋愛関連の自己啓発本を読み漁ったり、女性誌に載っているファッションやメイク術を実践してみたりもしたのですが、そんなニワカで恋人ができるはずもなく、すぐに挫折して絶望の淵へ立たされました。それでこうなったらもう神頼みしかないと思い込み、それまで気に留めたこともなかった霊感系の電話占いに相談したのです。

迷った末に私が選んだのはアテナ先生。HPのプロフィール紹介の欄に「叶わぬ恋を叶え、出会いの運を授ける」とあったので、「ぜひ私にも強力な出会い運を授けてください!」と勢い込んで頼み込みました。「あなた、肩に力が入りすぎです。まずは心を落ち着けてください」「すみません」「深呼吸をして精神を集中させて」私は先生に言われた通り、スマホを耳に当てたままOKが出るまで深い呼吸を繰り返しました。「はい、もう良いですよ。それではカードのスプレッドに入りますね」

占断はほんの数分で終わりました。回答は極めてシンプルでした。「残念ですが今のところ、新たな出会いを示すカードは現れていません」涙が出そうになるのを堪えながら、私はなおも食い下がって訊ねました。「私の何がいけないんでしょうか」「何がいけないということではないんですが、あなたにはまだ無意識のレベルで準備ができていないんです」「準備?」「そう、誰かを真剣に愛するという心の準備です。無意識下でそれが整った時、その人に相応しい異性との出会いが起きるんです。言ってみれば、引き寄せの法則ですね」「じゃあ、私が自分の無意識をコントロールできるようになれば、自然に恋人もできるということですか?」「無意識をコントロールするのは難しいことですが、有効な方法で繰り返し働きかけることで現実を少しずつ変えていくことができます」そう言うとアテナ先生は、出会いの運を引き寄せるための具体的な方法を教えてくれました。「まずは78枚揃ったフルデッキのタロットと、初心者向けの解説本を手に入れてください。そして毎朝、シャッフルしてからカードを1枚引き、その象意を調べます。象意が良い意味である時には、その日一日はなるべくそれに合致した行動を取るようにしてください。逆に悪い象意が出た時には警告として捉え、カードが暗示する凶意の事柄が起きないように注意して過ごすのです。これを1ヶ月ほど続けていると、次第にシンクロニシティ、つまり偶然の一致的な現象が多発するようになってきます。その波に乗っているうちに、念願の出会いのチャンスも巡ってくるでしょう」

考えた末、私はアテナ先生のアドバイスを実行に移すことにしました。彼女の自信に満ちた言葉と雰囲気に、信じるに足る何かを感じ取ったからです。翌日、新宿の大きな書店で海外輸入物の美麗なタロットと日本語の解説本を購入し、次の日の朝から一人占いをスタートしました。最初の2週間くらいは意味も分からぬまま続けていた感じでしたが、それを過ぎた頃から次第にカードの象意と現実の出来事の間の関連性を実感できるようになってきました。例えば悪魔のカードが正位置で出た時には街で怪しいスカウトに遭遇したり、ワンドの6が出た時は面接したバイトの採用通知をもらったりなど、タロットの意味と現実が連動し始めてきたのです。恋人のカードが正位置で出た時には胸が高鳴りました。しかしその日はふたつの物事の間で迷うという出来事があっただけで、全く期待はずれのまま終わってしまいました。私はそれでもめげずに朝のカードめくりを続けたのです。やがてアテナ先生に言われた1ヶ月が過ぎて2ヶ月目に突入した頃、3日続けて運命の輪が正位置で出ました。このカードには「大きな変化」や「幸運の到来」という意味があるのですが、恋人のカードが出た時の教訓があったので、さほど期待せずにその3日間を過ごしました。案の定その間はとくに幸運な出来事があったというわけでもなく、最後にバイト帰りの電車に揺られながら、3連チャンの運命の輪は私に何を告げていたのだろうかとぼんやり考えていました。と、ちょうど目の前の座席が空いたので腰を下ろしたのですがその際、お尻に違和感を覚えました。腰を少し浮かせて手で探ってみると、それはプラチナ製らしきシンプルなリングでした。内側には「95.6.23 from MASAKI」と刻印されていました。「結婚指輪?」女性の指にはまっているはずものがどうして電車の座席に落ちていたのかは謎でしたが、とにかく誰かの落とし物ということで駅事務所へ届けました。

そして……家に帰ってベッドに入ってから、ようやく気付いたのです。拾ったリング=運命の輪ではなかったのかと!数日後、大学で親しくしている友人から一人の男の子を紹介されました。彼の下の名は雅樹で誕生日は1995年6月23日。そうです。名前も生年月日も、あの結婚指輪に刻まれていたものと全く同じだったのです。つい先日、雅樹君と生まれて初めてのデートをしました。もちろんまだ恋人未満のお付き合いですが、必ず相思相愛の関係になれることを私は確信しています!