姉が恋人を家に連れて来た時から、私の中に悪魔が棲み始めたのです。一目で彼を好きになってしまった私は、その後、彼の名刺を頼りに会社の前で待ち待ち伏せして無理やり飲みに誘いました。お酒の弱い彼はすぐ酔いが回り、私はそんな彼をホテルへ連れて行き、半ば強引に関係を持ってしまったのです。酔いの醒めた彼は「一夜だけのことにしてくれ。オレは君のお姉さんを愛してるんだ」と頼み込んできましたが、あきらめのつかない私は沙升先生に相談しました。

「お姉さんの恋人を好きになり、もう関係を持ってしまったんですね」とズバリ言い当てられ、絶句した私。「彼の心を霊視してみると、貴女に惹かれているのがわかります。でも、理性で抑えているのですよ。本来、彼と結ばれるべき相手は貴女。彼とお姉さんと縁切りして、貴女と縁結びしましょう」沙升先生はお経のようなものを唱え出し、私は体がじんじんしてきました。

そして1週間後、帰宅した姉がリビングへ寄らずに自分の部屋へ駆け上がって行ったのです。そっと様子を伺うと、姉はベッドに突っ伏して泣きじゃくっていました。私はそのまま自分の部屋に入って行ったのですが、廊下で耳を澄ませていると、母が姉から話を聞き出しているのが聞こえました。「彼が他に好きな女性ができたから別れたいと言うの。それが誰か聞いても、決して教えてくれないのよ」私の鼓動が早くなったのは言うまでもありません。

そしてさらに1週間後、彼に呼び出されて出かけた私に彼は「君を好きになってしまった。彼女には申し訳ないけど、オレとつきあってほしい」と言ってくれたのです。 姉も今は立ち直り、お見合いで嫁いでいきました。でも、まだ彼とのことは秘密です。