占い師コラム

キローンの配置でヒーラーの才覚を知る第139回 ヴィーナス凛世先生

西洋占星術では、キローンという小惑星の配置やアスペクトで、その人の性質をみることがあります。キローンの配置によって分かることの一つに、ヒーラーとしての才覚があります。そこで今回は、あなたのネイタルチャートのキローンの位置からヒーラーとしての才覚があるかどうかをみてみましょう。

キローンとは

キローンの配置でヒーラーの才覚を知る

キローンは小惑星の一つで、「傷ついたヒーラー」と呼ばれるものです。西洋占星術で主要なのは、太陽や月、金星や火星などをはじめとした冥王星までの10の惑星です。それらと比べて小惑星は後回しになりがちですが、キローンの配置やアスペクトは意外に意味が深いといわれています。

キローンは、あなたが抱えている魂や心の傷を示し、同時に自分や相手の傷を癒す役割も果たします。魂の傷を癒すということから、世にいるヒーラーたちは自分自身を表す第一ハウスにこのキローンがあることが多いのだそうです。このキローン、はたしてどんな風に働くのでしょうか。もう少し詳しくみていきましょう。

キローンの働き

キローンは、ネイタルという生まれた瞬間の出世チャートではどのような働きをするのでしょうか。キローンの働きを知るには、通常、惑星の働きをはかるのと同様に、ハウスやアスペクトで見ることになります。

基本的に、キローンが何かの惑星とアスペクトしている場合、「その惑星が傷ついている」という意味になります。例えば、キローンと太陽がコンジャクション、つまり0度に近しい角度を成すとき、太陽というアイデンティティが傷ついていることを指します。

自分に自信がないことが多く、自分像を過剰に高めたりします。

キローンは、心の傷を表しますが、それは人には理解できない痛みです。そして同時に、癒しという効果があります。つまり、太陽がキローンで傷ついている場合、その人は人を癒す人生を目指すということになります。

また、キローンが月とコンジャクションの場合には、月という母親像が傷ついています。これは幼い頃に、母親から十分な愛情が得られなかった可能性が高い配置です。そのため、その代替として過度に人から愛されることに執着したり、大人になって自分自身がまるで聖母のように慈しみをもって子どもたちを愛したりするようになるといわれています。この人にとって、母親の愛情は非常に重要なのです。

ヒーラーとしての才覚とハウスとの関係

おおまかにキローンの働きをみてきましたが、そもそもキローンは神話の中で、傷ついた身体を自ら癒したという「傷ついたヒーラー」の通りの物語があります。つまり、キローンは、ただ単にトラウマのような、幼少期に受けた傷を表すだけでなく、社会的にその癒しの能力を活かすことのできるエネルギーも発するということです。傷を持っているからこそ、今度は癒そうとします。それは、自分を癒すことになるか、誰か他人を癒すことになるかはわかりません。しかし、社会性が発達していれば、キローンは人を癒すこともできるのです。

そして、そのキローンが位置するハウスは、あなたにとって苦手分野の可能性が高いです。しかし、そこで学びを繰り返すことによって、あなたは固有のスキルと自信を手にすることができるといわれています。つまり、キローンは、あなたの隠れた才能ということができるのです。

そのハウスの事柄を極めることで、あなたはその分野で弱者である人たちを救うことができるかもしれません。

例えば、第1ハウスにキローンがある場合、自分自身が主役になったり、人前で注目を集めたりすることが苦手です。しかし、自己主張をしたり、人前で発表したりすることに果敢にチャレンジしていくことで、あなたの人生が好転し、あなたの本当のヒーラーとしての才能が開花するといわれています。

また、第10ハウスにキローンがある場合、社会的に頭角を現し、偉大な功績を成したり、成功を収めたりすることにコンプレックスがあるでしょう。憧れはあるものの、自分には到底無理という思いを抱いているかもしれません。このような中、社会的に結果を出すことはこの人にとって困難に思われますが、何度もチャレンジすることで結果を出せるようになり、今度は社会的な成功をおさめるためのアドバイスを人にできるようになるでしょう。

また、スピリチュアルな分野でリーダーとなり得る人の配置に、キローンが木星とコンジャクションしていることが多いといわれています。木星は幸運や社会的な成功を示します。よって、キローンのエネルギーが木星によって、社会的に大いに拡大していくと考えられます。これも、一つのキローンを起点としたヒーラーの才覚といえるでしょう。

キローンが示す使命

キローンは、心に負った傷ということから、生まれつき誰もが持っているものです。しかし、そのウィークポイントを克服することは、あなた自身のためだけではなく、相手、社会、日本、世界、宇宙とあらゆる人々に対する貢献につながります。これも「傷ついたヒーラー」の意味でもあります。初めのうちは苦しく、「なぜ自分ばかりこんなに苦しい思いをしているのだろう?」と感じることもあるかもしれません。しかし、それは社会的使命でもあるのです。あなたがそれを乗り越えた暁には、誰かに役に立つことになります。努力は決して無駄にはなりません。キローンにはそうした使命という重要な意味もあります。

サインごとのテーマの克服

このキローンは、サイン、つまり配置されている星座で見た場合、どのような意味があるのでしょうか。それぞれのサインの特徴の中にあなたの弱点と克服すべきテーマが隠されています。

例えば、牡牛座にキローンがある場合、肉体的なものや自分が何かを所有することに強いコンプレックスがあり、いつも迷いの中にあります。自分の身体に欠点を感じ、人の目から隠れたい気持ちもあります。また、収入や財産、持ち物に対しても強いコンプレックスがあるため、この話題になると執着を示します。あまりに自分への評価が低いことを自覚しなければなりません。

双子座にキローンがある場合、自分の知性や考えにコンプレックスがあります。自分のアイデアを信じず、人のアイデアを信じて行動するため、一貫しない行動になりがちです。また、兄弟姉妹でトラブルが起こる場合が多いのも特徴です。

キローンがあるサインは、自分がじかに感じる影響だといわれていますが、キローンとタイトなアスペクトを形成している惑星がある場合、その惑星が存在する他のサインの影響も受けることになります。

キローンと土星の違い

ところで、キローンは、人生で克服すべき傷やコンプレックスといった意味合いもありますが、克服すべきという試練を示すものには土星もあります。土星とキローンはどのように違うのか、それぞれの意味を確認しておきましょう。

まずは土星の意味です。土星は人生に試練を与えますが、克服すると、目標が実現できます。幼い頃は、土星のルール、制限という力から、怖い存在、苦手な存在としてとらえられがちですが、大人になるとコントロールできるようになってきます。そして、その苦手なことに対して立ち向かい、克服するたびに、社会に適合することができるようになります。そしてその道のプロになることができるのです。一方、キローンは、決して克服することを義務とする概念はないようです。また、制限という意味もありません。ひたすら傷ついており、癒すのです。

また、キローンが示す事柄は、ある意味人からは理解しにくい傷です。その点、土星の分かりやすい試練とは異なります。土星よりも、克服することは、もっと個人的なレベルでの成長につながると考えられます。


キローンは、他の惑星と比べて、サブのような形ですが、意外と意識の下に存在する影響だといわれています。ぜひ自分のキローンをネイタルチャートで確認して、意識してみてはいかがでしょうか。